石油開発の流れ

石油業界では、石油・天然ガスの開発・生産から大型タンカーによる輸送、日本国内における精製、販売等に至る一連のサプライチェーンを、川の流れに例えて、上流(開発・生産)、中流(輸送)、下流(精製・販売)ということがあります。当社は、ENEOSグループの石油・天然ガス開発部門(上流部門)を一手に担っています。以下は、当社が展開する石油・天然ガス開発事業の基本的な流れを示したものです。

Step.1

鉱区取得

開発を行うためには、まず最初に、産油国・産ガス国が設定する「鉱区」を開発する権利、すなわち「権益」の取得を目指します。「権益」を取得する方法としては、産油国・産ガス国政府が実施する新規鉱区公開の際に入札あるいは交渉によって取得する方法や、既に他の石油開発会社が保有する鉱区権益を買い取る方法などがあります。

Step.2

探鉱

探鉱とは、地下の石油・天然ガスを探す活動です。鉱区権益を取得すると、実際に掘削する前に、地質調査や航空写真・衛星画像判読、そして重磁力探査や地震探査などの物理調査を行います。これらの調査・探索によって得られたデータを総合的に解析した後、有望と目される地点で試掘を行います。試掘が成功し、地下に石油・天然ガスなどの存在が確認できた場合は、油層・ガス層の広がりなどを把握するため、試掘井の周辺に評価井を掘削します。

Step.3

開発

油層・ガス層評価により商業生産可能と判断した場合、生産・貯蔵・出荷施設などの設計・建設、パイプライン敷設、生産井の掘削などを行います。LNG(液化天然ガス)プロジェクトの場合、大規模な液化プラントや出荷設備も必要になるので、長期顧客の確保も同時進行で行います。

Step.4

生産そして新たなチャレンジへ

完成した生産設備の試運転等を経て、晴れて原油・天然ガスの生産開始に至りますが、当該油・天然ガス田の埋蔵量は、生産開始と同時に減少していきます。このため、石油開発会社にとっては、常に新たな鉱区権益取得に向けて、チャレンジし続けることが大切です。

Step.5

廃山・廃坑

生産終了時、もしくは生産分与契約やライセンス期間終了時には、速やかに現地を開発前の状態に戻さなければなりません。環境負荷低減等の目的から、すべての坑井はセメントを流し込むなどして廃棄し、設備・施設もすべて撤去します。ただし、産油国政府や国営石油会社からの要請により、廃山にしないで坑井・設備をそのまま産油国政府や国営石油会社に引き渡す場合もあります。