石油開発事業の流れ
Business Process
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01鉱区取得
石油・天然ガスなどの地下資源を探鉱・開発・生産できる区域のことを「鉱区」といいます。石油・天然ガス開発事業は、この「鉱区」を取得することから始まります。産油・産ガス国政府が実施する入札に参加したり、鉱区権益を保有する事業者から権益を買収することにより、鉱区を取得します。
鉱区取得の流れ
1.データレビュー(事前調査)
各国政府や権益保有事業者が提供する鉱区データを分析し、鉱区の地質ポテンシャルを検討します。その後、事業リスク等の各要素を総合して、プロジェクト評価を実施します。
2.交渉
「事業性あり」と判断された鉱区について、契約条件の交渉を実施します。交渉相手は、各国政府や世界中の石油会社などです。技術・経験・資金などが厳しく審査されます。
3.契約締結
鉱区取得の主要条件に合意したら、基本契約を締結します。これから始まる石油・天然ガス開発プロジェクトは、すべてこの契約に基づいて進行します。弁護士、事業担当者など、多くの人が協働し、内容を精査します。
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02探鉱
石油・天然ガスを探し出す活動です。地震探査や文献調査等により、データレビュー時よりも詳細な情報を取得し、それを元に試掘等を行います。こうして発見した油層・ガス層の経済性を評価し、開発移行の検討を行います。
探鉱の流れ
1.試掘対象構造の選定
鉱区全体の地質構造を解釈し、試掘候補となる構造を選定します。地震探査で得られたデータを信号処理し、震探データを用いて構造・地質解釈を行い、試掘を行う場所を決定します。
2.試掘井・評価井の掘削
試掘井を掘削し、得られたカッティングス(岩屑)、コア(岩石サンプル)等により、貯留層の広がりや埋蔵量を推定します。また、試掘により原油やガスを発見した場合、構造全体を評価するため、評価井を掘削します。
3.貯留層評価・経済性評価の実施
取得したデータをもとに、より精緻な埋蔵量の評価を実施します。ここで得られる将来の生産予測により、投資コストや操業費・管理費を策定してプロジェクトの経済性評価を行い、開発・生産に向けての検討を実施します。
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03開発
商業生産可能と判断された油田・ガス田から、実際に石油・天然ガスを生産するために、生産設備の建設や生産井の掘削を行う活動です。安全かつ計画通りに作業が進むよう、オペレーターは現場で監督を行います。
開発の流れ
1.概念設計・Pre-FEED・FEED
貯留層評価をもとに、生産手法や生産井の配置、生産計画を策定し、概念設計を実施します。そのうえで、生産井や生産・出荷設備等の基本計画を策定し、環境アセスメントを実施します。これらを総合してプロジェクトの経済性を求め、開発計画を完成させます。その後、Pre-FEED(開発コンセプトの選定)、FEED(基本設計)を経て、生産設備等の仕様を確定させます。
2.詳細設計・建設
基本設計に基づき、生産設備の詳細設計および建設を実施します。実際に建設作業を行う元請け会社(コントラクター)を選定・発注し、建設を進めます。
3.掘削
建設と並行して、生産井を掘削します。掘削計画を策定し、これに沿って各種資機材やサービスを調達し、作業を進めます。そして、生産井の仕上げとテストを実施した後、生産設備の試運転を経て、生産へと移行します。
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04生産
油田・ガス田から石油・天然ガスを生産し、貯蔵、出荷を行う活動です。鉱区取得から生産開始までに十数年、時には数十年を要し、プロジェクトに携わる人数は数えきれない程になります。長きにわたるプロジェクトも、生産開始をもって一段落です。
生産開始後は、安定操業や効率的な生産のために、設備の管理・補修や坑井の改修を実施したり、生産量や圧力、温度等のモニター・管理を行います。また、生産された石油・天然ガスは、水分や不純物の除去など、安定化処理を施した後、タンクに貯蔵し、タンカー、パイプライン、鉄道等により出荷されます。
併せて、この油田・ガス田の価値を最大化するため、生産井から取得した新たなデータを用いて、貯留層構造の再評価や将来の生産予測を行い、追加生産井の掘削や増進回収法の実施時期を検討します。また、これらに伴う埋蔵量変化をシミュレーションして、開発・生産計画を調整し、最適化を図っていきます。
このようにして、いつか原油や天然ガスが回収できなくなる日まで、安全かつ安定的に生産が進められます。