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未来への取り組み2
New business development 2

JX石油開発の技術力で
社会課題の解決を実現する

J X石油開発が業界をリードする、環境配慮型の資源開発技術「CO2-EOR」が今、世界から熱い視線を集めている。参画メンバーとして、数年間CO2-EORプロジェクトに寄り添い、その成功の一端を担った藤田に、石油開発の未来を占うCO2-EORについてロングインタビューを行った。

CO2-EORとは

石油開発の初期に採用される一次回収法では、5~25%程度の原油しか回収されず、残りは油層中に残存したままとなる。一方、CO2-EORと呼ばれる高次回収法では、油層に圧入されたCO2が残存原油に作用し、原油の流動性を高めることで、非常に高い原油回収率を実現する。 原油増産の有効な手段として注目を集め、1970年代に既に商業化されていたこの技術には、デメリットがあった。それは、地中のCO2を抽出し利用することによる環境負荷。その課題を克服し、人工的に発生するCO2を削減し、温室効果ガスの排出抑制を実現したのが、J X石油開発のPetra Nova CCUSプロジェクトである

Interview
  • Q.1

    最初に、所属する技術戦略部について教えてください

    インタビュー

    技術戦略部は、世界中で展開されるプロジェクトの技術評価や新規案件獲得に向けた調査・スタディを行う部署です。並行して、資源開発に関する新技術導入に取り組んでおり、EOR 、CCS、デジタル技術といった、今後の事業戦略の核をなすような重要技術の獲得と活用に注力しています。
    エネルギー転換やデジタルトランスフォーメーションの潮流を受けて、社会構造が大きく変化しつつある中、こうした未来に向けた取り組みは大きな意味を持ちます。エネルギーという大枠の中で、J X石油開発が今後、どのような社会的使命を果たしていくか・・・その道を模索する部門と言えます。

  • Q.2

    CO2-EORプロジェクトについて教えてください

    私が参画したPetra Nova CCUSプロジェクト(アメリカ・テキサス州)を例に説明すると、石炭火力発電所から排出される燃焼排ガスからCO2を分離・回収し、枯渇しかけた老朽油田へと圧入することで、原油の大幅な増産を達成しました。さらに大気へ排出されるCO2の削減も同時に実現。約1000億円という膨大な資金が投じられたビッグプロジェクトであり、結果として年間最大160万トンのCO2回収・再利用という形に結実しました。これは、60万台の自家用車が年間に排出するCO2に匹敵し、東京都全体の面積に植林するのと同程度のCO2削減効果となります。
    CO2-EOR は1970年代頃から実用化されている技術ですが、環境負荷が長年の課題となっていました。当社も様々な課題と対峙しながら、水面下で準備を進めてきた結果、2014年の9月、ついにプロジェクトが始動。通常、10年はかかると言われる開発工事を、米国の石油会社・発電会社とのアライアンスのもと、3年足らずでやり遂げた類を見ないプロジェクトであり、2017年3月に本格稼働となりました。

  • Q.3

    プロジェクトにおけるご自身の立ち位置を教えてください

    2014年8月にテキサスA&M大学の留学を終え、そのままヒューストン事務所に赴任。開発工事着工を控えた時期に、Reservoir Engineerとして現地の操業会社に出向し、事業の技術評価や開発計画の最適化に取り組んでいました。本プロジェクトの対象となった油田は1930年代後半に発見されたもので、最盛期には日量約4万バレルを生産していました。しかし、80年に及ぶ生産期間を経たことで、事業開始時点では約300バレルまで生産が減退。寿命の尽きかけた老朽油田を復活させるため、過去80年間で蓄積された膨大なデータをもとに油層評価を行い、原油生産量の最大化に向けた圧入・生産方法の見直しを図りました。
    現地の操業会社Hilcorp Energy Companyへの出向時は、油田現場の作業確認や現場の情報をもとにした生産状況分析、油層シミュレーションを駆使したCO2の流動挙動解析に尽力。実際に見ることができない不確実な地下事象に対して、臨機応変に対処できるよう、様々な状況を想定し、生産の最適化に向けた検討を行いました。

社内コンペ
  • Q.4

    プロジェクトにおいて、最も困難だったことを教えてください。

    困難はいくつもありましたが、真っ先に思い出されるのは、無事に施設が稼働して半年後、テキサス州を直撃した大型ハリケーン「ハービー」です。メキシコ湾の牧草地と湿地帯にあった油田は、海抜が低く、一部のエリアが水没する被害に見舞われました。幸いにも人命や主要設備に損害はありませんでしたが、2週間ほどの生産停止を余儀なくされました。生産が波に乗ってきたタイミングだったということもあり、人の力では太刀打ちのできない自然災害に対して、ただ唖然としました。
    ハリケーンが去った後も水が引くまで自宅待機をしつつ油田の状況確認を続けました。外出が可能になってからは、安全に十分配慮した上で、施設の復旧作業に奮闘。こうしたイレギュラーな出来事を通じて、普段から最悪の事態を想定し行動する危機管理能力の大切さを痛感しました。

  • Q.5

    取り組みのどのようなところに醍醐味を感じますか?

    インタビュー

    未開発の新たな領域への挑戦は、自社内だけでは実現できないでしょう。国内外の研究機関との産学連携や、専門的な知識・技術を有する企業との協力関係構築、ENEOSグループの巨大ネットワークとリソースの有効活用が不可欠です。実際に大学教授などの有識者との打合せを行う中で感じるのは、新たな“つながり”がもたらしてくれる期待感と、プロジェクトが前進しているという実感です。外部から得た新たな知見やアイデアに触れる度に、仲間と情報を共有しお互いの反応を確かめ合うのですが、その時にやりがいのようなものを感じます。

  • Q.6

    今後の展望をお聞かせください

    パリ協定で掲げられている「産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2℃以内に抑える」という目標達成には、Petra NovaクラスのCO2回収装置が約1600基必要な計算(*1)になります。一見、途方もない数字に見えますが、環境に対する意識の変化やそれに伴う世界の潮流が、追い風となっているのは事実。
    当社でもCO2-EORを最重要技術の一つ捉え、インドネシアの国営石油会社との共同事業検討や海外大学と連携したEOR研究、AI技術を用いた事業効率化など様々な取り組みを通じて、その可能性拡大に全力を挙げています。そうやって、目の前にある課題を地道に一つずつ解決していきながら、CO2排出削減と地球にやさしいエネルギーの安定供給を目指していくことが、長期的なVISONです。
    個人的な展望としては、人間が生きるために必要なエネルギーを、地球に負荷を掛けずに創り出すにはどうすればいいか?限りある資源を持続的に利用していくためにはどうすればいいか?こうした問題に対する解決策を、自分たちなりに世の中へと提示していきたいと考えています。そして、J X石油開発の事業を通じて、それは実現可能であると考えています。

    (*1)「IEA World Energy Outlook 2019」より、持続可能な開発シナリオを基に算出

  • Q.7

    最後に、応募者へのメッセージをお願いします

    マネジメント層に「挑戦」する文化が根付いており、既存の枠にとらわれず、様々なことにチャレンジできる風土があります。社内で新規案件の公募が行われたり、若手・中堅社員を中心としたタスクフォースチームが立ち上がったりと、既存事業の枠組みにとらわれないビジネス開拓の検討が行われているのが、その好例です。そして、新入社員であってもそういった取り組みに参加できるので、挑戦意識の高い人材にとって、良い環境であると思います。
    私の経験から言えることは、何もなかった広大な牧草地に、大規模なプラントや数百本の坑井ができ上がっていく様子は圧巻で、J X石油開発のビジネススケールは想像を超えて壮大です。日頃の努力や研鑽が実を結び形となっていく様子には、どんな苦労があっても「この仕事をしていてよかった」と思えるだけの感動があります。

藤田有亮

Yusuke Fujita

藤田 有亮

技術戦略部 貯留層技術グループ
2010年入社

理工学部 環境資源工学科 卒

学生時代には米国ニューオーリンズで開催された石油技術者の国際学会に出席。入社後に留学を決意するきっかけをくれた大学教授との出会いや赴任先となったヒューストンでの石油メジャー訪問など運命的な経験をする。そうした経緯が資源開発の興味へとつながり、JX石油開発へ入社。社内留学制度で訪れた米国では、シェールガス研究に没頭した。現在はデジタル技術のトレンドとその活用法に食指を伸ばし、勉強中。