体験者レポート
Report from Student

North Carolina / Duke University へ留学

根岸 義教
2009年入社
事業・管理系社員

※社名・部署名は当時の名称となっています。
留学先 Fuqua School of Business at Duke University
留学期間 2017年7月から1年10か月
履修科目
Energy Markets and Innovation
石油・天然ガスの採掘から再生可能エネルギーまで、多岐にわたるエネルギー事業のビジネスモデルについて、マーケットのトレンドと技術革新に重点を置きつつ様々な側面から学習。経済性の分析の観点では、各授業にてシミュレーションモデルを使ってクラス全体で電力の入札シミュレーション等を行い、どのような要素がそれぞれのビジネスモデルにおいて大きな影響を持つかも学ぶ。
EDGE Seminar Series on Energy & Environment
エネルギーおよび環境をテーマに、General MotorsやEquinor等の欧米企業や政策決定者を招待し講演を聞く授業。各講演では、事前課題による背景知識の学習、講演者とのディスカッション、事後のエッセイ提出を通じて、より深くテーマを学習し論じることが求められた。
Strategy Implementation
戦略論の学問領域として戦略のデザインではなくその遂行に焦点を置いた授業。週2回の授業それぞれに40ページほどの読書課題があり、授業の始めには学生の一人がCEO役として指名され、与えられたケースについて自分の意見を述べ、他の学生からの質問に答えることを求められる。

留学の準備

Q. 1留学に至る経緯は?

就職活動の際、弊社に社費派遣での留学制度があることを知りました。入社後、社内外の留学経験者にお話を聞いたりご一緒に仕事をしたりするうちにますます希望が強くなり、社費派遣に応募しました。留学では、海外現業所などで多様性のあるチームをリードする能力や、大転換期を迎えるエネルギー業界での戦略立案能力などを身に着け自分の可能性を広げたいと考えました。そのため、多様性の中でのリーダーシップを重視し、エネルギー分野に強いデューク大学が自分の志向にフィットすると考え、同大学への留学を決めました。

Q. 2留学に際し、苦労したことは?

ビジネススクールの合格には、激しい競争を勝ち抜かなければなりません。GMATという共通テストや、エッセイ、面接等において米国人と同じ土俵で競わなければならず、まずは英語力の向上に相当な努力が必要でした。入社してから留学を意識していたので英語力を鍛え続けてはいましたが、やはりそれだけでは不十分。社内選考通過後に、追い込みをかけて勉強しました。しかしながら、プロジェクトの投資決定や第一子の誕生が重なったこともあり、勉強時間の確保に苦労しました。通勤電車やトイレはもちろんのこと、お風呂でも勉強するようになりました。

留学中の生活

Q. 3現地の食事は?

米国は北部と南部で食文化が違いますが、私の留学先であるノースカロライナ州は南部に位置し、代表的な料理はバーベキューです。日本では地域によってお味噌の味が違いますが、米国ではバーベキューのスパイスの味が変わります。ここでは酸味がかなり効いており日本には無い味なので、新鮮に感じました。また、大都市ではないので数は少ないですが、ハンバーガーや地元のクラフトビール等、料理やお酒がおいしいお店を発掘するのも楽しみでした。他にも、自宅から車で10分のところに牧場があり、そこで食べられるアイスクリームの味も思い出として印象に残っています。

Q. 4休日の過ごし方は?

子供が2人(2人目は留学中に誕生)いましたので、休日はもっぱら子供を遊びに連れていっていました。ノースカロライナ州は大都市のようにゴミゴミしておらず自然が豊かなので、子育てには最高の環境でした。また、米国は博物館が充実しており、子供向けの展示も沢山あります。私の子供たちのお気に入りは屋外に恐竜の巨大模型がある自然博物館でした。広大な敷地を活かした博物館で、子供を連れて一周もすればヘトヘトになります。他にも、動物園、水族館、牧場やState Fair(年一回の州のお祭りで移動遊園地が来る。)、近隣都市への小旅行など、親も子供も楽しく過ごしていました。

Q. 5現地ならではのイベントや習慣は?

米国ならではのイベントはイースターなど色々ありましたが、ハロウィーンを特に楽しみました。米国では、住宅街の通り一帯やショッピングモール全体がハロウィーン仕様になるので、子供たちにコスチュームを着せて歩き回りました。かなり気合の入った装飾を施した住宅もあり、子供たちも本気で怖がったりして、思い出深いです。文化については、南部の特徴だと思いますが、他人との距離が近く、特に子供たちに優しいです。ファストフードチェーン店で子供が大の字になり寝そべってダダをこね始めて困っていた時には、見知らぬ男性がレジで子供用のおもちゃを買って子供にくれたこともありました。

Q. 6留学中に苦労したことは?

スケジュール管理に最も苦労しました。勉強、家族、課外活動(ケースコンペティションやエネルギークラブ等)と主に3つの活動に従事していましたが、Fuquaではチームでの学習を重視していることもあり、土日にもチームミーティングが入ります。加えて週明けの授業の予習のために土日の時間を使わなければならないことも多く、1年生の時には深夜3時頃まで勉強することもよくありました。最終的には、チームメイトやメンターに相談して、自分が大切にしたい時間(私の場合は家族との時間)は、予めOutlookカレンダーに入力し、絶対に他の予定を入れないようにしました。

今後に向けて

Q. 7留学して良かったことは?

戦略論やファイナンス、エネルギー事業に関してなど、留学前に身に付けたかった知識が習得できたことももちろん良かったのですが、それ以上に、リーダーの在り方ついて考えを深められたのが良かったです。良いリーダーは、組織の文化に良い影響を与える能力を持ちます。留学前にはリーダーが勤勉であればチームも影響を受けて勤勉になり、パフォーマンスが上がると信じていましたが、それは多くの場合正しくありません。私が現地で学んだのは、「他人にどう接するか」が組織の文化に大きな影響を与えるということです。その中には、自己や他者の持つバイアスやマイノリティへの理解などさまざまな課題が含まれています。長い道のりになりますが、他人への接し方に気を配り、良い文化を会社や家庭など自分の周りに持ち込めるように努力したいと思います。

Q. 8今後、留学に行く人へのアドバイス

改めて、留学制度を利用して良かったと感じています。特に、知識を身に付ける以上に、留学前よりも人としての在り方や他人への接し方に考えを巡らせられるようになったのは大きな収穫でした。ビジネススクールでは勉強も課外活動もできることが無数にあるので、はじめから気後れせずにさまざまなことにチャレンジするのが重要だと思います。そのためには、ご自身が何に興味があるのかを、会社からの派遣であることは一旦忘れて、留学前に一度問い直してみてください。